雇入れ時の安全衛生教育を社内で行う方法
8項目の中身と、記録の残し方
法令で決まっていること
根拠は労働安全衛生規則35条です。事業者は、労働者を雇い入れたとき、または作業内容を変更したときに、その労働者が就く業務に関する安全衛生の教育を「遅滞なく」行わなければなりません。
| 号 | 教育する事項(条文の要旨) |
|---|---|
| 1 | 機械等、原材料等の危険性・有害性と、その取扱い方法 |
| 2 | 安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能と取扱い方法 |
| 3 | 作業手順 |
| 4 | 作業開始時の点検 |
| 5 | その業務で起こるおそれのある疾病の原因と予防 |
| 6 | 整理、整頓、清潔の保持 |
| 7 | 事故時等の応急措置と退避 |
| 8 | そのほか、その業務の安全衛生に必要な事項 |
2024年4月1日からは、業種によって1号から4号を省略できた規定がなくなり、全業種で8項目が教育事項になりました。実際に教えるのは、その人が就く業務に必要な事項です。対象者は雇用形態や国籍を問いません。パート、アルバイト、外国人の従業員も含まれます。
省略が認められるのは、十分な知識と技能があると認められる事項だけです(同条2項)。
法令で決まっていないこと
ここを知っておくと、社内での実施がぐっと楽になります。
- 時間:雇入れ時の教育には、時間の定めがありません。科目ごとに時間が決まっている特別教育とは別物です。
- 記録:雇入れ時の教育の記録を作れ、何年残せ、という条文はありません。記録の3年保存が義務なのは特別教育です(安衛則38条)。
- 教材と方法:決まりはありません。対面、動画、eラーニング、どれでも構いません。
決まりがないからといって、記録を残さなくてよいわけではありません。教育の中身を後から客観的に説明するには、記録がいちばん確かです。労働災害が起きたときには、教育をしていたかどうかを確かめられます。
社内で行う手順
- 入社日までに、教育の担当者と日程を決めます。条文は「遅滞なく」なので、雇い入れた後、その業務に就かせる前に行うのが基本です。
- 共通の事項(保護具、整理整頓、危険予知、応急措置と退避など)を教材で教えます。
- 自社の機械と原材料、作業手順、始業点検は、現場で担当者が実物を見せながら教えます。汎用の教材では、ここを代わりにできません。
- 確認テストや口頭の質問で、理解できたかを確かめます。
- 記録を残します。
記録には、少なくとも次の項目を入れておくと、後で聞かれたときに困りません。
- 誰に(氏名・雇入れ日)
- いつ(実施日と所要時間)
- 何を(8項目のどれを、どの教材で)
- 誰が(教育担当者)
- どの方法で(対面・動画など)
- 理解したか(テストの結果、本人の署名)
方法ごとの費用
2026年9月時点で各社の公式サイトに出ている価格です(当社調べ)。
| 方法 | 費用の目安 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 外部のeラーニング講座 | 1人あたり4,950〜5,500円(受講のたび) | 外国語対応が要る/採用が少ない |
| オンライン講習(Zoom) | 1人あたり9,800円 | 年に数人だけ |
| 教育DVD+紙の記録票 | 52,800〜66,000円(DVD) | PC操作を減らしたい |
| 新人教育スタンダード(当社) | 29,800円(税込)買い切り・人数無制限 | 毎年数名〜十数名を採用する中小製造業 |
1人ごとに費用がかかる講座は、受講者が6人を超えると当社の買い切り版のほうが安くなります。採用が年に1人か2人なら、外部講座のほうが合うこともあります。
新人教育スタンダードでできること
法定8項目に対応した教材52枚と確認テスト25問、受講記録をHTMLファイル1つにまとめたアプリです。インターネット接続もインストールも要りません。
- 受講者ごとの合否と受験履歴を自動で記録し、CSVで書き出せます
- 「実施記録票 兼 修了証」をA4で印刷できます。事業場名、教育担当者、受講方法、所要時間、各章の合否、安衛則35条1項の各号との対応表、署名欄が1枚に入ります
- 事業場固有の内容を書き足す「補足」欄があります
- スライドとテストは自社向けに書き換えられ、現場の写真も差し込めます
よくある質問
雇入れ時の安全衛生教育は何時間行えばよいですか?
労働安全衛生規則35条には、雇入れ時の教育の時間の定めはありません。時間が決まっているのは特別教育(労働安全衛生法59条3項)のほうです。雇入れ時の教育は、その労働者が就く業務に必要な事項を、理解できるまで教えることが求められます。
雇入れ時の安全衛生教育の記録は、何年保存する必要がありますか?
雇入れ時の教育について、記録の作成や保存期間を定めた条文はありません。記録の3年間保存が義務になっているのは特別教育です(労働安全衛生規則38条)。ただし、教育の中身を後から説明するには記録がいちばん確かなので、実務では特別教育と同じく3年は残しておくと扱いがそろいます。
パート、アルバイト、外国人の従業員にも雇入れ時の教育は必要ですか?
必要です。労働安全衛生規則35条は「労働者を雇い入れたとき」と定めており、雇用形態や国籍で対象を分けていません。短時間のパートやアルバイト、技能実習生や特定技能の外国人も対象です。
経験者を中途採用した場合も、8項目すべてを教育しなければなりませんか?
労働安全衛生規則35条2項により、十分な知識と技能があると認められる事項は教育を省略できます。ただし、何を根拠に省略したか(前職の経験、資格など)を記録に残しておくことをおすすめします。機械や原材料、作業手順のように事業場ごとに違う事項は、経験者でも教える必要があります。
市販の教材やDVDだけで、8項目の教育を済ませられますか?
保護具の使い方、整理整頓、事故時の応急措置のような共通の事項は教材で教えられます。一方で、自社の機械や原材料の危険性、作業手順、作業開始時の点検は事業場ごとに違うため、汎用の教材だけでは足りません。現場で担当者が補い、その内容も記録に書き足してください。
2024年4月に何が変わったのですか?
改正前は、製造業や建設業などの一部の業種を除き、8項目のうち1号から4号(機械等の危険性、保護具、作業手順、作業開始時の点検)の教育を省略できました。2024年4月1日の改正でこの省略の規定がなくなり、すべての業種で8項目が教育事項になりました。実際には、その労働者が就く業務に必要な事項を教育します。
まずは無料の体験版で
登録もメールアドレスも不要です。テスト、記録、管理画面、編集モードまで、全機能をブラウザで試せます。
※本アプリは事業者が行う安全衛生教育を支援する道具です。教育の実施と内容の判断は事業者にあり、法令遵守を保証するものではありません。営業のお電話はいたしません。
関連ページ
法令の記述は、2026年10月19日にe-Gov法令検索(労働安全衛生規則35条・38条)と厚生労働省・都道府県労働局の公表資料で確かめたものです。法令は改正されることがあるため、最新は一次情報をご確認ください。価格は2026年10月19日時点です。当社は適格請求書発行事業者の登録をしていません。