2026年9月1日 公開 / RandyLab(新潟県糸魚川市)

化学物質管理の「4本のリスト」と、その更新日
── 2026年10月1日に、また対象が増えます

2024年4月の改正対応を終えた事業場は多いと思います。ただ、あれは終わりではなく始まりでした。 厚生労働省が公表しているリストは4本あり、適用日も更新日もそれぞれ別に動きます。 どれか1本を見て「うちは対象外」と判断すると、別のリストでは対象になっていることがあります。

1.来月10月1日に、また増えます

厚生労働省が公開している「濃度基準値の一覧」には、こう書かれています。

令和7年10月8日更新、令和8年10月1日適用物質の追加

来月です。そして増えるのはこれだけではありません。令和9年4月1日・令和10年4月1日に施行される分まで、すでに公表済みです。

2.2024年4月に義務になったこと

2024年(令和6年)4月1日から、リスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業場ごとに、次の2つの選任が義務になりました。

見落とされやすいのが、事業場の規模にかかわらず義務だという点です。従業員が少ないから対象外、という区切りはありません。

化学物質管理者の職務(7つ)

  1. ラベル・SDS等の確認
  2. 化学物質に関わるリスクアセスメントの実施管理
  3. リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択・実施の管理
  4. 化学物質の自律的な管理に関わる各種記録の作成・保存
  5. 労働者への周知・教育
  6. ラベル・SDSの作成(リスクアセスメント対象物の製造事業場の場合)
  7. 労働災害発生時の対応

選任して終わりではなく、これを回し続けることが職務です。

3.「うちは作っていないから関係ない」は誤解です

法律の建て付けはこうなっています。

義務の中身が違うだけで、使っているだけの事業場も対象です。切削油、洗浄剤、脱脂剤、塗料、表面処理の薬品。自社で作っていなくても該当します。

4.追いかけるリストは4本。更新日はバラバラです

リスト2026年9月時点の状況
リスクアセスメント対象物一覧(裾切値一覧)令和10年4月1日施行分まで収載(令和8年6月5日更新)。ファイル内は「施行済のみ/令和9年4月1日施行/令和10年4月1日施行/未施行含む全物質」のシートに分かれています
濃度基準値の一覧令和8年10月1日に適用物質の追加(令和7年10月8日更新)
がん原性物質の一覧(作業記録等を30年保存する対象)令和10年4月1日適用分まで(令和8年6月5日更新)
皮膚等障害化学物質の一覧(不浸透性の保護具等の使用義務)令和9年4月1日適用物質の追加(令和8年4月1日更新)

適用日も更新日も揃っていません。難しいのは法律の理解ではなく、4本のリストが別々の日付で動き続けるのを、担当者ひとりが追い続けなければならないという点です。

30年保存という言葉も、あらためて見ると重い数字です。いま記録の付け方を決めておかないと、30年後にその記録を探すことになります。

5.事故の実データが示していること

厚生労働省「職場のあんぜんサイト」が公表している労働災害事例2,632件を当社で全件確認したところ、化学物質が関わる事例は551件(20.9%)ありました。5件に1件です。

そのうち19件が「救助」「救出」の絡む事故でした。公表されている表題をそのまま引きます。

硫化水素も一酸化炭素も色がありません。量によっては臭いも感じなくなります。倒れている人を見て、何が出ているか分からないまま入ると、二人目になります。

出典:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」労働災害事例(公表分)。件数は同サイトが配信する事例データを2026年8月31日に当社が全件解析した実測値です。「化学物質が関わる事例」は、表題または概要に化学物質名・薬品名・中毒・ばく露・薬傷・酸素欠乏等の語を含むものと定義しました。

6.世界でも同じ方向に動いています

日本だけの話ではありません。米国の化学安全委員会(CSB)に届け出られた事故の実数がこうです。

化学物質の放出を伴う事故負傷または死亡を伴う事故
2021年83件60件
2025年131件89件

4年で約1.6倍です。直近1年でも20%以上増えています。米国では最近の11か月間で36名が化学産業の事故で亡くなっています。

非営利団体の集計では、2021年1月以降に米国で少なくとも1,463件の危険化学物質事故が起きており、週におよそ5件のペースです。

欧州でも、2025年12月にフランス・リヨン近郊の工場で水素爆発が発生し、作業者4名が負傷、有毒ガスの拡散により10万人以上に屋内退避が指示されました。EUのセベソ指令で高リスクに分類されていた事業所です。

出典:米国化学安全委員会(CSB)への届け出件数の報道集計、および非営利団体 Coming Clean の集計(2026年に報じられたもの)。欧州の事例は2025年12月の報道。いずれも2026年9月1日に当社が確認しました。

日本の2,632件のうち551件、米国で週5件、欧州で10万人の屋内退避。使う量が増え、扱う物質が増えれば、事故は同じ形で起きます。国が違っても、原因は「置き方・人の配置・情報の伝わり方」に収束します。

7.今日できる確認

  1. 4本のリストの最新更新日を、それぞれ確認しましたか
  2. 塩素系と酸性の薬剤が、同じ棚・同じ床に置かれていませんか
  3. 容器の見た目で区別がつきますか(段ボールのままだと外見が同じになります)
  4. 普段その作業をしない人が入るとき、手順書が現物のそばにありますか
  5. 倒れている人を見つけたときに、その場でSDSを引ける状態ですか

5番目が「いいえ」だった方へ

当社は、事故のその場で、扱っている薬品のSDSと応急措置を数秒で引けるアプリを作っています。国が指定する2,367物質を収録し、社内LANで全員が同じ画面を見られます。買い切りで、月額はかかりません。

製品ページを見る(体験版・無料PDFのご案内あり)

※リスクアセスメントの実施と責任は事業者・化学物質管理者にあります。本アプリはその作業を支援する道具であり、代行・監査合格の保証をするものではありません。営業のお電話はいたしません。

関連ページ

本記事は公開時点の厚生労働省の公表資料に基づく一般的な整理です。法令・対象物質・適用日は改正により変動するため、最新は必ず厚生労働省の一次情報をご確認ください。個別の適用可否や制度の解釈については、所轄の労働基準監督署にご確認ください。本記事は法的助言ではありません。