ベテランの段取りを手順書に残すとき、
何を書けばいいか
手順を順番に並べただけの手順書は、ベテランが辞めたあとに役に立たないことが多いです。抜けるのは「どこに気をつけるか」と「なぜそうするか」だからです。この記事では、手順書に何を書けば技能が残るのかを、技能伝承アプリに同梱している見本の実際の画面で説明します。
1. 手順の横に「急所」と「なぜ」を書く
同梱の見本のうち、いちばん書き込んであるのは卓上両頭グラインダーの手順書です。工程が25、急所が34あり、その急所すべてに「なぜ」を付けています。
「停止中に調整する」だけなら、忙しい日には守られません。「回転中に調整すると、手をワークレストとといしの間に巻き込まれる」まで書いてあれば、理由ごと覚えてもらえます。ベテランが口で言っている注意は、たいていこの「なぜ」の部分です。
2. 危険源には、効く順に対策を付ける
同じ画面の下半分が、危険源と対策です。対策には「除去・工学的対策・管理的対策・保護具」の種類を付けます。
上の工程では、「回転中に調整すると手が巻き込まれる」に付いている対策が「停止・施錠してから調整する」(管理的対策)だけです。そのためアプリが、設備の側で防げないかをもう一度考えるよう、作成者に注意を出しています。厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」は、法令で定められた措置を必ず実施したうえで、除去(危険な作業の廃止・変更)、工学的対策、管理的対策、保護具の順に検討するよう求めています。手順書に「気をつける」と書いて終わりにしないための仕組みです。
3. 段取り替えの「見分け方」は、4つに分けて書く
段取り替えのように、人によってやり方が違う作業には、中身を空にしたひな形を用意しています。設定値や勘どころは会社ごと・機械ごとに違い、外に出せるものでもないので、中身はあえて入れていません。入っているのは書く場所と書き方の見本です。
見分け方は「気づくこと」「確かめ方」「考えられること」「まずやること」の4列で書きます。見本の行では、型番の刻印が読みにくいと気づいたら、段取り表の番号と型の刻印を声に出して読み合わせる(確かめ方)、思い込みで持って行かずに台帳で置き場を確かめる(まずやること)、と書いています。新人が迷うのは、異常に気づいたあと何をすればいいかのほうなので、そこまで書いておきます。
4. 覚えたかどうかは、実技で確かめる
手順書を読ませただけでは、できるようになったかは分かりません。アプリの社内技能検定は初級・中級・上級の3等級で、評価者が実際の作業を見て採点します。会社の中で決める検定なので、国家検定ではなく、特別教育・技能講習・免許の代わりにもなりません。
減点式にしていないのは、安全の項目を平均点で見ても意味がないからです。手袋を着けたまま研削したら、ほかが満点でも合格にはしません。合格には評価者と受検した本人の両方の署名を残します。
5. 最初の1件は、教えられる人が少ない作業から
全部の作業を一度に書く必要はありません。教えられる人の人数と、その人が定年まで残る年数を書き出すと、どの作業から残すべきかが見えてきます。紙で数えたい方には、技能伝承の棚卸しシート(A4・無料)を用意しています。
この記事の画面は、無料の体験版でそのまま開けます
技能伝承アプリの体験版は、登録もメールアドレスも要りません。Windows版とMac版(Appleシリコン専用)があり、作業手順書を3件まで作れます。見本とひな形は最初から入っています。製品版は買い切りで¥79,800(税込・1事業場)、月額はかかりません。当社は適格請求書(インボイス)発行事業者ではありません。データはそのPCの中だけに保存し、インターネットにはつなぎません。
社内で購入を検討される方向けに、価格・ライセンス・情報セキュリティ・免責をA4 1枚にまとめた稟議用の資料(PDF)もあります。
技能伝承アプリの詳細と体験版 →本記事は一般的な情報の整理です。作業手順書の内容、法定資格の要否、教育の内容は、事業場の作業実態と法令にもとづきご判断ください。アプリは作業手順書の作成・教育・技能評価の実務を支援する道具であり、これらを代行するものではなく、監査への合格や法令遵守を保証するものではありません。